英語の動詞takeは、実に様々な物・事柄を「取る、持って行く」ものです。
前回は最も基本的なtakeの意味と使い方、文法的な解説をしました。目に見える物体をtakeするときは、このように理解しやすいと言えます。
今回は目に見えない事柄を「取る」takeについて、意味や使い方、文法上のポイントなどを説明します。
目に見えない物をtake
takeは、上記のように目に見えて形ある物だけでなく、目には見えない概念的なことも「取る」のです。このことが、takeという動詞を難しくしています。対象となる物が、目に見えないんですからね。
責任を取る
「責任」という、大人になったら取りたくなくても、誰でも取らなければいけないものも、takeで取ります。
いつも言い訳ばかりで責任逃れをしているGray。付き合っている彼女を妊娠させたとかで、さすがに今回は責任取れよと、彼女や友達はGrayに詰め寄ります。しかも既に妊娠8ヶ月。もう後戻りはできない時期です。
Take responsibility for child care.
この使い方から分かるように、take responsibilityは、あまり良い状況には使われません。日本語でも「責任を取ります」と言うときは、あまりいいシチュエーションではないですよね。大人になるって、そういう嫌なことも「取る」んですね。
take it easy
take it easyは決まった言い方とも言える、定番です。
「気楽にいこう」という意味で、よく使われる表現です。
マイナス思考の友達が、いつものようにああでもないこうでもないと、深刻に考えているとき。あなたは励ますつもりで、
Take it easy.
と声をかけます。
文法的によく考えると、easyではなくeasilyと副詞をつけるような気がしますが、決まったフレーズとしてよく使われるので、take it easyとそのまま覚えましょう。
私が思うに、よく使われるのでゴロがいいとか言い易いとかという要素が入ってくるのかなと思います。確かにeasilyよりeasyの方が言い易いですから。
take your role
日本人なら誰でも言われたことがあるはず、人の気持ちになって考えろ。
take one's roleで直訳すると「xxの役割を取る」です。
実際に誰かの役割を奪うのではなく、誰かの立場になって考える、というふうに使います。
日本で働くと、見て覚えろとか、言わなくても常識で分かるだろ、と言う上司がいます。
「これ、コピーしておいて」と渡してきた上司。それ以上のことは言いません。あなたは、その渡された物を確認すると、四時間後に始まる会議で使われる企画書だと分かりました。その会議では10人が出席予定です。最近あなたの会社は経費削減がさけばれています。
あなたは、
-10部のコピー、一応余分にもう2部
-会議が始まる1時間前にはコピーを終える
-経費削減なので、コピー紙を節約するため両面コピーで、カラーインクは使わず白黒コピー
そんなことを「コピーしておいて」という上司の短い言葉から、上司の立場や意図することを考え行動しました。
I took his role.
全くご苦労なことです。
目に見えない物を「選ぶ」とき
以前目に見える物を選ぶとき、takeを使うことを説明しました。
目に見えない物や事柄を「選ぶ」ときにも、takeを使います。「選ぶ」とか「採用する」とか、日本語だとそんな感覚に近いです。
3人の企画案があります。Anderson、Brandon、Camilleの優秀な社員たちが、素晴らしい案を出しましたが、3つとも全く違う内容で、一つに絞る必要があります。
I'll take Camille's idea.
3つの案から、Camilleのを取る、選ぶ、採用する、そんなときもtakeを使います。
ideaは目に見えませんが、食後にコーヒーか新茶にするか、どちらをtakeするかの考え方に似ています。ですから理解しやすいのではないでしょうか。
覚えたいtakeのフレーズ
写真を撮る
takeが同じ「とる」でも、「取る」ではなく「撮る」ときにも使います。
take a picture 写真を撮る
take a chance
take a chanceもほぼ決まった言い方といってもいいでしょう。せっかくのチャンスを逃したくない、チャンスをつかむ!
take a breath
医者が聴診器で診察するとき、
Take a deep breath.
と言います。
あるいは焦っているとき、まあちょっと深呼吸でもして落ち着いて、というときにも。
休む take a break
キットカットのコマーシャルで、take a breakというフレーズを覚えました。
勉強や仕事の一生懸命頑張っているあなた。キットカットと共に小休憩を。
これがしっかりとした休息をとるときは、
take a rest 休息を取る
一日休みをとる、あるいは今日は午前中だけ働いて午後からの時間は休むとき。
take a day off
take some time off.
この場合の休むとは、休息をすることが目的かもしれないし、単に気分転換に仕事から離れるということかもしれません。ですから仕事を休んだ一日は、一日中ベッドでゴロゴロとのんびりしているかもしれないし、リフレッシュにドライブへ出かけているかもしれません。
見て見て take a look
take a lookもよく使われます。
1983年の堀ちえみ主演ドラマ「スチュワーデス物語」で、主役の松本千秋が、訓練官の言う英語が聞き取れず、適当に理解し大失敗をするという場面がありました。訓練官が乗客役になり、阿波踊りを見たいと英語で松本千秋に尋くのですが、その時使われた表現が
take a look
でした。しかし松本千秋はこのフレーズの意味が分からず、阿波踊りを踊ってほしいんだと理解し、訓練用の飛行機の中で阿波踊りを踊るというシーンです。
阿波踊りを見たいと、takeを使わず、lookだけで松本千秋に尋けば、松本千秋は理解したかもしれないのに、この訓練官は意地悪だな。
散歩する take a walk
毎朝ウォーキングをしている人も多いかと思います。あるいはお散歩に出かけるときにも使えます。
のんびり散歩ではなく、エクササイズとしてのウォーキングなら
take a power walk
手首や足首に重しをつけて、スピーディに歩く、あれです。
まとめ
目に見えない物や事柄をtakeする場合の解説、そしてそのような物や事柄にからんだ、よく使われるフレーズを紹介しました。
take を使わなくても、
take a breath → breathe
take a look → look
take a rest → rest
take a walk → walk
とそのままでも動詞になりますが、名詞につければ、その前に形容詞を伴って、どんな息、どんな眼差し・見ること、どんな休息か、説明できます。
take a deep breath
take a quick look
take a good rest
これらは英語らしい表現で、これらを使いこなせばかなり英語上級者と言えます。
次回は人にまつわるtakeの使い方を説明します。
takeとbringの違いと使い分けについては、
↓ ↓ ↓
「「take」と「bring」の使い分け|英語動詞」