海の名前は、the Pacifice Oceanなのに、市の名前はthe無しで、Kobe City。人間が名づけた自然の名称に、英語の冠詞theがあったりなかったり。
一見バラバラで、パターンが無いように見えますが、実はパターンがあります。
今回は道の名前について、英語冠詞theはつくのか、つかないのか、解説します。
the無しで、Evans Street
以前Evans Streetという通り沿いに住んでいたので、小見出しにつけてみました。
友達があなたの自宅へ遊びに来たいと言い出しました。道が分からないというので、あなたは道順を紙に書いてあげました。
Make a right turn on Third Avenue, and you'll see Evans Street...
3番街を右に曲がると、エバンズ通りが見えるから・・・
このように道の名前そのものには、the無しです。
どうして道はthe無し?
英語の冠詞を勉強するとき、
そうか道の名前にはtheがつかないんだ、
そう丸暗記してしまう方法も一つではあります。道にはつかないけど、海にはついて、でもその中でも湾にはつかないで、山にもつかないで、でも市にはついて・・・。一つ一つ覚えていくのもいいでしょう。
しかし、そんなことしていては、ではこれは?じゃあこの場合は?と地球上のありとあらゆる名称の前に、いちいち悩むことになります。
そこで、どうして道の名前にはthe無しなのか考えると、パターンが見えてきます。このパターンを理解すると、次回何か新しい名称を英語で言うときに、theが必要かどうか、感覚で分かるようになります。
では本題に戻り、なぜ道の名前にはtheが無いのかを考えます。
英語の冠詞theは、区切りの無いものを区切って一つの塊にしてあげる、一つの形あるのに仕立て上げる、そんな役割があります。
船で地球上の海を延々と横切って行くと、一体どこまでがXXX海で、どこからがyyy海で、なんて分かりません。ラインが水の上に描いてあるわけじゃないし、看板が立っているわけじゃない。
地図帳を広げても、しっかりと線引きがされているわけじゃないです。
だからこそ、theを使ってここまでが日本海、ここからが東シナ海、と線引きする必要があるのです。どこまでが日本海なのかはっきりさせる必要がある。
道はどうでしょう。わざわざあなたが線引きする必要があるでしょうか。外に出てみましょう。まず道路の横幅。はっきりここからここまでが道路で、ここからは歩道で、ここからは私有地、というのが確認できます。地図帳を開いても、県道11号線はここまでで、ここからは国道2号線になっている、とはっきり分かります。実際にその場所に出向けば、きっと看板があったりするでしょう。そんなふうに、いちいちあなたが、区切ってあげる必要はない、ということです。つまり、theをつけて、ここからここまでが道路幅で、ここからここまでが県道4号線で、ここからここまでがエバンズ通りで、と区切る必要がないのです。
theをつける必要がないのです。
もしtheをつけたら?
ではtheをつけて、
the Evans Street
と表現するのは間違っているのでしょうか。
いいえ、間違っているわけではありません。ただ別の意味になるのです。
例えば、あなたが住んでいる街にEvans Streetという名前の通りが二つあったとします。一つは街の西側を、もう一つは街の東側を通る道だとします。
先週新しいレストランが東側のEvans Streetにオープンし、あなたは明日食べに行こうと友達を誘いました。そのレストランはどちらのEvans Streetにあるの?と友達が尋ねて、あなたは、
It's on the Evans Street.
と、あなたはtheに続けてEvans Streetと答えました。
ここでtheとつけたのは、あなたの住む街に2つEvans Streetがあるので、どちらかはっきりしなければいけないからです。
で、あなたと友達は、よく東側のEvans Streetを通ります。通勤するときにその道を通って会社へ行くし、銀行やスーパー、カフェや美容院など、あなたと友達が普段行く多くの場所は、東側のEvans Street沿いにあります。
ですから、
the Evans Street
と言えば、「あのエバンズ通り、いつものエバンズ通り」と、お互いが分かっている方のエバンズ通りを意味します。
このtheはとても意味を持っていて、決してEvans Streetという名詞についた付属品ではありません。
まとめ
もし社会の授業で先生が、「私たちが住む市にある、主な道の名前を5つ書きなさい」という宿題が出たとき、
Evans Street
3rd Ave
Highway 21
County Road 16
Airport Blvd
のように、the無しです。
そして”道の名前にはthe無し”と機械的に覚えるのではなく、なぜthe無しなのか理由を考えると、英語の冠詞が感覚で分かってくるようになります。