Don't shoot the messenger.
または
Don't kill the messenger.
直訳すると、「使者を打つな、殺すな」ですが、責任の出所を問うときや、八つ当たりされたときに使えるフレーズです。
みなさんも一度は経験したことがあるであろう、実際の例を挙げて説明します。
メッセンジャーは命掛けの仕事
Don't shoot/kill the messenger.
このmessenger とは、メッセンジャー、使者という意味で、伝言やメッセージを伝える配達人です。
戦争中に各地の戦局状況を伝えるため、司令官のもとを訪れる使者に対し、悪い知らせの場合、司令官がその使者をその場で殺してしまった、ということがこのフレーズの由来です。
メッセンジャーとは、まさに命がけの仕事だったわけです。
もし良い知らせの場合は、メッセンジャーは殺されることはありませんでしたし、むしろ褒美を与えられたかもしれません。
でもよ〜く考えてみると、これっておかしいですよね。
だって、別に戦局状況の良し悪しに、メッセンジャーは何にも関係していないのですから。メッセンジャーのせいで、戦争が優勢になったわけでも、劣勢になったわけでもありません。戦争の状況そのものについては、メッセンジャーには何の責任もありません。
メッセンジャーはただ自分の仕事しただけ、つまり戦局状況を伝えただけです。
しかしここが人間の悲しい心理です。
好ましくない戦局状況に怒った司令官は、それがあたかもメッセンジャーのせいであるかのように、メッセンジャーに怒り心頭。ついには殺してしまったのです。
通信機器が発達している今なら、わざわざ司令官のもとにメッセンジャーが来ることはないでしょう。
命がけのメッセンジャー。どうか自分の仕事をしているだけのメッセンジャーに、怒りの矛先を向けないで、ましてや殺したりしないでほしいものですね。
やり場のない怒りに、つい八つ当たりして
通信機器が発達している現代でも、形を変え、職種を変えて、メッセンジャーは生きています。
会計税理士の友人の話しです。
「クライアントに今季の税金は◯◯円で、これを期日までに払ってください」と伝えると、中にはものすごい剣幕で怒りまくるクライアントがいるそうです。その友人は会計税理士として、クライアントのために仕事をしただけです。友人が税金は◯◯円と決めたわけではなく、クライアントの収入などに応じて、国が決めた額を算出しただけです。
おそらくクライアントとしては、怒るべき矛先は、国であることは十分分かっているんです。しかしそんなこと、できやしない。しかし頭に来るこの怒りは収まらない。そこで、支払うべき税金の額を知らせた、つまり悪い知らせを伝えた会計税理士に、怒りの矛先を向けるのです。
あたかも友人が悪いかのように。
八つ当たりとしか言いようがないのですが、さすがに戦争中のメッセンジャーのように、殺されたりするような心配はないので、友人はこれも仕事と割り切るようにしているんだそうです。
もっと身近な例としては、私が住む自治体では区費を払うのですが、それを集金に来る各区の代表者が、何となく厄介な存在に思えます。
光熱費とか、新聞代とか、携帯電話代とかは、割とOKなんです。実際に自分が使用している感があるので。
しかし一体どんなふうに使われるのか、今一理解できない税金、区費となると、腹が立つんです。
でも払わないわけにはいかないので、その怒りの矛先が、集金に来た人に向いてしまうのです。
よく考えれば(よく考えなくても)その集金に来た人は、自分の仕事をしているだけなんですよね。その人からすれば、まさに、
Don't shoot the messenger.
ですよね。
まとめ
今回ご紹介したフレーズ、Don't shoot/kill the messengerを使いたくなる場面って、よくありますよね。
理不尽な八つ当たりは、気持ちは分かりますが、やはり止めましょう。何も解決しません。
以上、八つ当たりされたら、”Don't shoot the messenger” 意味を解説しました。