a Takuya とか、a Mr. Kimura というふうに、「英語冠詞a + 人名」ってとても見た目がおかしな感じがして、一瞬間違いじゃない?と思ってしまいそうです。
しかしこの使い方、決して間違っているわけではありません。
今回は、「英語冠詞a + 人名」の使い方と意味を解説します。
人の名前は固有名詞だけど
固有名詞に英語の冠詞aはつかない、って学校で習った気がします。そうなると、人名は固有名詞になるのでは?と思ったあなた、おしいです。
人の名前だから、というふうに人名に対し特別な意味を持たせて英語の冠詞を考えると、とてもこんがらがることになります。
a Mr. Nakai
を、日本語では「中居っていう人」というふうに訳されることが多いです。
A Mr. Inagaki would like to see you. 稲垣って人があなたに会いたいそうだよ。
ここで大事なのは、「英語冠詞a + 人名」は、「木村っていう人」って意味なんだな、と終わらせないことです。
もう一度言います。別に人名だからといって、英語冠詞が特別な意味を持っているわけではありません。
そういう名前の物、者、モノ
まず「英語冠詞a + 人名」は、どのようなシチュエーションで使われるのか、例文から見てみましょう。
会社の受付の人ナタリーが、あなたに、
【例文1】
ナタリー: Do you expect any guest today? 今日誰か、お客さまがお見えになる予定はありますか?
あなた: No, I don't think so. Why? いや、ないと思うけど。なんで?
ナタリー:
is waiting at the front desk. 香取と申される方が、受付でお待ちです。
ここで「英語冠詞a + 人名」を使って受付の人が、A Mr. Katori と言っていますが、この表現から分かるのは、ナタリーは、受付で待っている
、ということです。全く知らない人。今日初めて会った人。
Mr. 香取は、血の通った意思を持った一人の人間、パーソナリティもあるでしょう。しかしそういう部分を一切考慮しないで、人の形をした単なる"モノ"。ちょっと言い方は悪いですが、ナタリーにとっては、人の姿や形をした物体のような感覚で、その"モノ"が受付で待っている。"モノ"の名前は、香取というそうだ。
あなたの会社では、大きな郵便物や小包が届く予定の日は、受付の人に予め知らせておくという決まりがあったとします。
ナタリーが、あなたへの大きな宅配便が届いていると、知らせに来てくれました。しかしナタリーは、あなたへ荷物が届くと聞いていません。
【例文2】
ナタリー: Did you expect any package today? 今日荷物が届く予定がありましたか?
あなた: No, I don't think so. Why? いや、ないと思うけど。なんで?
ナタリー: You'll see a huge box at the front desk. 受付にあなたへの大きな宅配便が届いています。
【例文1】と【例文2】では、扱っているモノ(者)が、人と荷物という違いこそありますが、ナタリーにとっては、どちらも同じこと。
【例文1】の"a Mr. Katori"と【例文2】の"a huge box"は、ナタリーにとっては、どちらも知らないモノ。これら二つの冠詞aの使い方は、同じことなのです。
まとめ
上記のように考えていくと、「英語冠詞a + 人名」が、何だか特別な使い方や言い方というわけではないことが分かります。
英語の冠詞は、この場合はこうなる、というような機械的な文法ではありませんが、ある種の法則というか、パターンはあると思います。しかしそれは感覚で理解していくしかないです。そうやって感覚で理解していったとき、一定の法則が見えてきます。
以上、「英語冠詞a + 人名」の意味と使い方を説明しました。