人に親切にしたとき、
Kind of you
と言われました。
初めてそのフレーズを聞いたときは、kind とyouという単語から、私の親切に対して褒めてくれているんだな、感謝してくれているんだな、と言うことは分かりました。しかし、今ひとつ文法的に深く解釈できませんでした。
“You're kind”なら分かるけど、そうじゃなくて”Kind of you”って?同じ意味じゃないの?
しかし形容詞は違えど、このフレーズ、
形容詞 + of + 人
よく使われます。
今回は、”It’s kind of you”と“You're kind”の違いについて、文法的に、そして実際どのように使われるのか説明します。
文法的な違いは?
まずは、”Kind of you”と“You're kind”の文法について、見てみましょう。
It's 形容詞 of you to do ~
“Kind of you”をもうちょっと文法的に正しくすると、
It's kind of you to double my salary.
このことからお分かりいただけるように、主語のitは、to double my salaryを指しています。で、be動詞のisで、itすなわちto double my salaryはkindなわけです。
it = to double my salary
で、be動詞のisで、itすなわちto double my salaryはkindなわけです。
to double my salary = kind
私の給料を倍にしてくれるなんて、確かに親切ですよね。
次にof youの解釈ですが、前置詞ofには、2つの基本的な意味があります。
1. 所有のof
2. 同格のof
ここでは、2の「同格のof」を意味します。つまりofの前後の単語は、イコールなわけです。
kind = you
まとめると、
1. 私の給料を倍にすることは親切
2. そしてその親切なのはあなた
まるで数式のようですね。1と2の順序はとても大事であることを、頭に入れてください。
You're kind
“You're kind.”はbe動詞が使われていて、説明なんて必要ないくらい、基本的な文です。
You = kind
あなた = 親切
上記のように給料を倍にすることを付け足すなら、
You're kind to double my salary.
to double my salary私の給料を倍にするということは、kind親切なことです。この場合、不定詞であるto double my salaryということが、kindである理由や原因になっています。つまり、なぜkindなのか、給料を倍にするから、という関係です。
to double my salary
理由・原因
↓
kind
またもや数式のようですが、まとめると、
1. あなたは親切だ
2. なぜ親切なのかというと、私の給料を倍にしたからだ
先程のように、ここでも1と2の順序はとても大事です。そのこを踏まえた上で、”Kind of you”と“You're kind”の文法的違いを理解しましょう。
性格か行動か、何に注目しているのかが、カギ
”Kind of you”と“You're kind”の文法的違いから、”Kind of you”は、行動に注目していて、“You're kind”では人に注目していることが、お分かりいただけると思います。
数式説明の1が、2より強調されている部分です。
ですから、”Kind of you”の場合は「私の給料を倍にすることは親切」、つまり「私の給料を倍にすること」という行為が、“You're kind”では「あなたは親切だ」、つまり「あなた」という人物そのものが、親切であると強調されているのです。
親切である対象が、異なるわけですね。
実際の場では、どうのように使われる?
「私の給料を倍にしてくれるなんて、あなたは親切だ」という例文は、”Kind of you”と“You're kind”の実際の用法の違いをよく表しています。
誰が私の給料を倍にしてくれるのか、それは上司です。給料の交渉の第一歩は、普通直属の上司にまず相談します。もちろん会社によるでしょうが。
で、その上司がさらに上に掛け合ってくれたりして、結果、私の給料が倍になる。
とにかくそういうストーリーがあると仮定します。
普段その上司について、特に良い人悪い人と意識したことはないけれど、給料交渉に関しては尽力してくださり、そのことに感謝している。
上司という人物、その性格というより、上司がしてくれたこと、その行動に注目しているので、”It's kind of you to double my salary.”が適切です。
では上司に“You're kind”と言ったら、どうなるのでしょうか。
別にどうもなりませんし、間違いでもありません。
上司の性格のこと褒めて、何かウラがあるのか、とか、上司に好意でも寄せているんじゃないか、とか、そんな詮索する人は、まずいないでしょう。
ただ注意したいのは、形容詞によっては、男性から男性へ言うのは避けた方が良い場合もあります。では、それについて、詳しく見てみましょう。
同性同士ではNGな形容詞
「形容詞 of 人」には、様々な形容詞が入ります。そこで注意したいのは、性別によって、NGな形容詞があるということ。
例えば、sweetという単語。甘いとか、親切などという意味があります。
【男 → 女】
職場の先輩(男性)が、バレンタインにチョコをくれた後輩(女性)に、
“Sweet of you to give me Valentine's chocolate.”
バレンタインのチョコレートをくれるなんて、君は優しいな。
【女 → 女】
風邪を引いたら、スープを持ってきてくれた女友達に、
“Sweet of you to bring some soup for me.”
スープをもってきてくれるなんて、優しいわね。
【女 → 男】
雨の日、車で送ってくれた男友達に、
“Sweet of you to give me a ride.”
車で送ってくれるなんて、優しいのね。
上記のパターンはOKなのですが、 男 → 男のパターンは避けた方が無難です。
【男 → 男】
引っ越すのを手伝ってくれた男友達に、
“Sweet of you to help me move.”
引越しを手伝ってくれて、優しい奴だな。
この場合はsweetではなく、niceやkindの方が安全です。
まとめ
”Kind of you”と“You're kind”の文法的な違い、そしてそれぞれの意味や使い方がお分かりいただけましたか?
行動に注目するときは”Kind of you”のように、
形容詞 of 人
一方、“You're kind”では、その人について、あるいはその人の性格に注目しています。
一見同じような意味にも見えますが、注目していることが違います。
“Sweet of you”とか”Nice of you”というフレーズは、よく使われます。意味を理解して、ぜひ使いこなしてください。