英語で自己紹介をするときなどに、ただどこどこの会社で働いています、に止まらず、自分の役職名を言うことがあります。
または名刺を英語で作成するとき、役職名を記載します。
そんなとき、冠詞はどうなるの?いるの、いらないの?冠詞がつくなら、a(an)それともthe?という疑問が…。
今回は、役職名を英語で言うとき、冠詞はどうなるのか解説します。
文書で役職名表記するときは、冠詞なし
文書で役職名を表記するときって、例えば、仕事や会社関連の手紙の締めくくり。
手紙の文章の後、
➀は手紙を書いた人(実際書いた人は秘書かもしれませんが)、差出人の名前、
➁は手紙を書いた人の役職名、
➂は会社名
実際の手紙には、➁が無く➀と➂だけかもしれませんし、➂が無くて➀と➁だけかもれません。また➁と➂両方無い場合もありますし、上記のように➀と➁と➂の全部が揃っている場合もあります。いずれにせよ、サインの下に➀は必ずきます。
ここで注目したいのは、➁の役職名です。大文字で始まり、冠詞はありません。
名刺についても同じことです。
Sandy Roth ←➀ 名前
Business Development Executive ←➁ 役職名
Takashi Tanaka ←➀
Senior Exective Vice President ←➁
Brad William ←➀
Marketing Specialist ←➁
名刺には、名前のすぐ下に役職名が記載されることが多いです。ここでも大文字で始まって、冠詞がつきません。
文章の中で、役職名を言う場合
今度は文書ではなく、文章の中で、役職名を言う場合、冠詞はどうなるのでしょうか。
文章の中でというのは、何も手紙やメールのように書くことだけではなく、話す場合も含まれます。
My name is Cathy, and I'm a markting manager.
役職名に冠詞a がつきます。どんな仕事をしているのか、マーケティングマネージャーをしている。世の中にはマーケティングマネージャーはたくさんいますから、その内の一人、という意味で、冠詞a がつきます。
Nancy is a vice president.
ナンシーが働いている会社では、副社長が複数いて、ナンシーはその中の一人、というふうに解釈できます。副社長って、一つの会社に複数いたりしますからね。
またナンシーの会社では副社長がナンシー一人だけ、という場合でも、世の中にはたくさんの会社が存在し、その分だけ副社長がいるわけで、ナンシーはそんな世界中に大勢いる副社長の一人だ、というふうにも解釈できます。
もしナンシーの会社では、副社長がナンシー一人だけで、そのことをはっきりさせたいのであれば、冠詞 theを使って、
Nancy is the vice president of Brown World Travel.
どこの会社なのかを示すことで、ナンシーがその会社では、唯一の副社長であることが明らかになります。
たとえ会社名を出したとしても、a vice presidentであれば、
Nancy is a vice president of Brown World Travel.
ブラウン世界旅行社では、副社長が何人かいて、ナンシーはその中の一人なんだな、と解釈できます。
この英語の冠詞の法則は、このブログの英語冠詞ファイルで、何度も説明してきました。対象が役職名になっただけで、冠詞のルールは同じです。
「役職名 + 名前」は冠詞なし
President Trumpとか、Professor Rossのように、「役職名 + 名前」で人を呼ぶとき、冠詞はつけません。
この場合、その人のタイトルで、Mr. TanakaとかDr. Moriと同じこと。ですから「役職名 + 名前」というよりは、「タイトル + 名前」と言った方が正しいでしょう。
日本語だと、田中氏とか森博士、トランプ大統領とかロス教授。
大統領のことを、Mr. Presidentと呼んだりします。
アメリカではファーストネームで呼び合うのが普通ですから、自分が学生で教授の名前を呼ぶとき、患者として医師の名前を呼ぶとき、あるいは自分より役職がと〜っても上で、その人がとっても年上で、自分がとっても若僧で、そんなとき以外はファーストネームです。
でもたまにいるんです。ファーストネームで呼ばれるより、役職名で呼ばれることを好む人。性格でしょうか。フレンドリーより、社会的地位の方が大事なんでしょうか。
「タイトル + 名前」で、名前の部分は、必ずしも名字とは限りません。ファーストネームが入ることもあります。そうなると礼儀とかフォーマルさには欠け、どちらかというととても親しみを込めて、「タイトル + ファーストネーム」と読んでいます。
フレンドリーであって、失礼な呼び方ではありませんが、失礼だと捉える人もいるかもしれません。上記のような社会的地位がとっても重要な人や、初対面の人には、避けた方が良いでしょう。
また男性が男性にこのような呼び方をするのは、個人的に聞いたことがないのと、もしかしたらもっと別な意味が加わるかもしれませんので、これもまた避けた方が無難でしょう。
まとめ
自己紹介などで、自分の役職名と会社名を出すのであれば、冠詞a(an)かtheがつきます。冠詞がa(an)になるかtheになるのかは、あなたの役職を取り巻く状況や、あなたが何を強調したいのかによります。
役職名のみを出して会社名は伏せるのであれば、冠詞はa(an)になる、と覚えれば、大体の場合OKです。
もちろんこの場合でも、ただ会社名を言わないだけで、自分はその会社における唯一の副社長だと示唆したいのであれば、冠詞をtheにするかもしれません。
会社名なんてどうでもいい、自分は副社長という仕事に誇りを持っているんだ、なんて人は、冠詞はaです。
以上、役職名と英語の冠詞について、説明しました。
【注】
「特定の名詞に冠詞theやaがつくか」は、今回のテーマで説明するために便宜上使った表現で、「冠詞theやaにその名詞がつくか」という考え方が正しいです。英語冠詞の基本的考え方について詳しくは、「日本人の間違った英語冠詞の考え方 実際の使い方を解説」をご覧ください。