日本人で英語を教えている講師の方、たくさんいますよね。みなさんきっと一生懸命英語を勉強されたんだと思います。
しかしそんな英語の先生の英語力って、どれくらいなんだろうって思いませんか。
学ぶ側からしたら、やはり気になるところです。
ずはり、その先生がどのように冠詞を説明しているのかで、講師が冠詞をどれだけ理解しているのかで、英語力が分かってしまうんです。
習ったように教える
先日ネット上で英語のレッスンをしている動画を観ていました。その中で、Dr.アジというユーザーネームで動画をいくつも投稿している英語レッスンがあり、その一つの動画が冠詞についてでした。
その人はダウンロード形式の英語教材を売っているらしく、ビジネス成功のため頑張っているんだなと、思わず心の中でエールを送ってしまいました。
興味本位でその教材についての説明書きを読むと、何でも自分は留学中かワーホリ中か何か中、全く英語ができなかった。でもある日現地の人が自分に質問してきた一つの英文から、英語道が開けた。そんな経験から、英語が話せるようになり、そのメソッドをまとめたものらしい。説明書きがとても長かったので半分しか読んでいませんが、多分そんな内容だったと思います。
そんな苦労して身につけた英会話力。今ではたくさんの英語レッスンの動画を投稿されています。
で、冠詞についてのレッスン動画を観ていたら、大体3つにまとめてありました。
- 英語の名詞には、数えられる名詞(countable nouns)と数えられない名詞(uncountable nouns)がある。
- 数えられる名詞には、必ず冠詞a(an)かthe、または複数のsがつく。
- りんごが好きは”I like apples” と複数形で。チキンやビーフが好きなら、chicken、beefで、最後にsはつけない。理由は分からないがchickensとは言わない。
これはまさに中学校で習ったまんまではないですか!
私が子供に漢字を教えるとき、「はね」とか「はらい」を教えるのに、小学校1年生のときの担任の先生が教えてくれたように、私も教えます。人はまさに教わったように教えるのですね。
先生の英語力をチェック!
では上記の1~3を、一つ一つ検証してみましょう。
「数えられる名詞と数えられない名詞」という考え方
中学校高校と、英語の名詞には可算名詞と不可算名詞、数えられる名詞と数えられない名詞があると習いました。
英和辞典には、英単語が名詞のとき、「可」「不可」とか「C」「U」のマークがあって、この名詞は数えられるのか数えられないのかが記してあります。
しかしアメリカで普通に売っている英語辞典には、「C」「U」のマークがないんです。英語のオンライン辞書を見ても同じです。
なぜかというと、名詞について、そういう概念が無いんです。名詞を見て、そういうふうに考えたりしない。
おそらく名詞を見て、数えられるのかどうか、はっきりしたくなるのは、私たちがそういうふうに習ってきたからであって、そんなこと、冠詞を使いこなすためには、重要な要素ではありません。数えられる名詞かどうか、と考えるので、冠詞が理解できないのです。
冠詞について解説している先生が、英語の名詞には数えられる名詞と・・・、と話していたら、ちょっと残念な先生です。
数えられる名詞には冠詞か、複数のsがつく
私が見たビデオ動画には、例文として、
彼女はかわいい
She is cute.
↓
彼女はかわいい女の子だ
She is _ cute girl.
girlは数えられる名詞だから、冠詞aをつて、
She is a cute girl.
とありました。
「英語冠詞 a の使い方は?超実践的例文で詳しく解説」にも書きましたが、冠詞は名詞につく付属品ではありません。
girlが冠詞を決めているのではなく、冠詞が名詞を決めている、冠詞が名詞の意味を決めて、説明しているのです。冠詞aが先にあって、girlがくる。
girlがあるからaをつける、という考え方をしている時点で、あらあら、とても残念です。こういう考え方が、日本人が冠詞を理解でなくしているのです。
りんごが好き、鶏の唐揚げが好き
さらにそのビデオ動画では、講師が、名詞を複数にするのか単数にするのか、という説明をしていました。
例文として、
I like apples. りんごが好き
この場合は、an appleではなく複数形applesとする。なぜなら、複数形にすることでいろんな種類のあるりんご全部をさすから。
でも
I like chicken. I like beef. 鶏肉が好き。ビーフが好き。
のときは、chickensとはいわない。
このビデオ動画先生は、理由が分からないとおっしゃっていましたので、詳細は「英語冠詞 a chickenを食べる?つけるとこうなる」をご覧ください。
確かにケンタッキーフライドチキンが好きと言いたいとき、
I like chicken.
ですが、もし
I like chickens.
と言ったら、別に間違っているわけではありません。
I like an apple. も同じこと。間違っているわけではなく、I like an apple の意味になるだけです。
冠詞を勉強するとき、正しいか間違っているかで理解すると、絶対冠詞を使いこなすことはできません。
なので先生が、
I like an appleではなく、I like apples.
I like chickens ではなく、I like chicken.
と話していたら、その先生の英語力はちょっと残念です。
まとめ
英語の冠詞は、他の文法とは違い、正しいか間違っているか、というシステム的に説明できるのではないし、システム的に理解するものではありません。
感覚なんです。
だから日本人にとって、英語の冠詞を理解するのは難しいです。
ですから、この感覚を身につけている英語の先生というのは、とても英語力があるといっていいでしょう。