国名や市名など地名を英語で言うとき、冠詞theはつかない、と学校で習いました。参考書にも、学習サイトにも、そう書いてあります。
でも「アメリカのことをThe United States of Americaとか、イギリスのことをThe United Kingdomって言うよな」と気づいたあなたは、凄いです。
今回は、地名に置ける英語冠詞theについて、解説します。
地名と冠詞the
国名や市名など地名には、英語の冠詞theはつかず、
Japan
Canada
Somalia
Tokyo
Sapporo
Chicago
のように表記します。
で、もしかして、「そうか、地名にtheはつかないんだな」で終わっていませんか?
それとも、「あれ、サッカーワールドカップのアジア最終予選の初戦で、日本が負けたUAEって、The United Arab なんとかって言うんじゃなかった?」と気づきましたか?
もし後者なら、あなたはきっと英語の冠詞をマスターすることができます。
地名にthe無しはなぜ?
まず、Japan、Hawaii、Aomori、Parisのように、国、県や州、市の名前には、theがありません。
The Japanではなく、Japan。
個人的な見解ですが、The Japanというと、なんだか戦前の大日本帝国のような印象が。
本題に戻って、なぜ地名にはthe無しなのか、考えてみると、これは「英語冠詞File6: 道の名前にtheはつくの?つかないの?」の考え方に通じています。
つまり、地図帳を開いたとき、国境線、県境、市の境目、など、はっきり境界線が引いてあります。日本は島国なのでどの国とも国境を接していませんが、海外に行くと国境は、地図帳だけでなく、実際にしっかり引いてあります。フェンスが張ってあったり、川が国を分けていたり、韓国と北朝鮮の38度線のように、本当に線というか、そういうのが、目に見えてあります。
県境でも、その境目に行くと看板が立っています。
はっきり経緯何度から何度までとか、決められています。
この場合、わざわざtheをつけて、私たちが、日本の国はここからここまで、何て線引きして区切ってあげる必要が無い。theをつける必要が無い、と考えられます。
線引きして区切って、ここからここまでが市内、とまとめてあげる必要が無いとき、theは必要ないのです。
theがある国
地図帳を見ると、アメリカの英語表記は、
The United States of America
日本語では、正式にはアメリカ合衆国です。
いつも思うのですが、"合衆国"ではなく"合州国"と表記すれば、分かり易いと思います。
アメリカは計53州あって、一つ一つの州が独立している、と言っても過言ではないほど、法律や決まりが州ごとに違います。この州ではマリワナは合法なのに、この州では違法とか。運転中にスピード違反で警察に捕まったとき、拳銃を持っていたら、自己申告する必要がある州もあれば、警察が聞いてきたら、持っていると答えればいいという州もあります。
そんなふうに一つ一つの州が集まった国、という意味で"合州国"。
グループを一まとまりにしてあげて、他と線引きするのが、theの役割の一つです。
またイギリスも、
The United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland
という、スコットランド、ウェールズ、イングランド、そして北アイルランドから構成されている国家です。こうのように4つの国からなる連合王国です。4つの国を一つにまとめてあげるために、theを使います。
ちなみに普通、話すときはこのままでは長過ぎるので、
Britain
the UK
と言いますが、私が知る限りでは、アメリカではthe UKを使い、Britainと言う人はおそらく移民。どちらも間違ってはいませんが、個人的にはthe UKの方が言いやすいです。
「イギリスの、イギリス人の」というように形容詞に用いるときは,
British
これと同じで、アメリカという国や場所を指すとき、
the US
と言い、あまりAmericaを用いません。いつアメリカに来たの?と尋くとき、
When did you come to the States?
When did you come to the US?
のように言って、Americaを頻繁に使う人はおそらく移民。でも「アメリカの、アメリカ人の」と形容詞のときは、
American
を用いることもしばしば。
英会話レッスンになりそうなので、今回はここまでにします。
まとめ
「そうか、地名にはthe無しなんだ」と、そのまま覚えないで、その裏にある理由を考え、イメージや感覚で英語の冠詞を理解しましょう。