同じ前でも、”in front of ~”と”before ~” では、どう意味が違うのでしょうか。例えば、
You are in front of me
You are before me
どちらも「あなたは私の前にいる」のですが、意味が異なります。
詳しく見てみましょう。
場所や位置が問題、in front of ~
「~の前に」という決まった言い方として、in front of ~というイディオムを習いました。
居酒屋で目の前に置かれた日本酒を見ているとき、the sake in front of meです。
ショッピングセンター内のフードコートで、ソフトクリームを食べていたら、目の前に子供が。私がおいしそうに食べているのを、羨ましそうにジッと見ていました。そのときも、the child in front of meです。
in front of ~とは、場所や位置のような空間的なことを表しています。私の前に〜がいる(ある)、それだけのことです。
空間+方向性が、before ~
beforeという英単語は、
before I went to school
学校へ行く前に
のように、時間的な「〜の前」というふうに、学校で習いました。
車を運転している友人が、自分の前を走る車を指して、before meと言ったんです。私は、in front of meじゃないの?と思いました。もちろんこの場合、before meの方が正しいかったんです。そのことは、in front of ~ とbefore ~の違いを理解した後のことですが。
in front of ~が場所や位置のような空間的なことのみに対し、before ~とは、空間的な要素もありつつ、かつ方向性も加わってきます。それが「学校に行く前に」のような時間的な方向性の場合もあります。
先程の運転をしていた友人の場合、空間的方向性とも言えます。どこかへ向かう目的地があって、方向をそこへ向けている状態。運転中は一定の方向へ向かって車を走らせているわけで、そうった理由から、友人は、before meを使ったのでした。
もし駐車場で、目の前に駐車した車のことを指すのであれば、車は止まっている状態ですから、in front of meが適切です。しかしある一定方向へ並んで駐車することに、何か意味があるのなら、before meがふさわしいでしょう。ま、この場合は、特にどちらでもあり得るでしょう。
自分で取るタイプのドーナツ屋へ入ったら、私の前の人がドーナツを自分のトレーにのせては戻し、のせては戻しを繰り返していました。一度自分のトレーにのせたドーナッツを戻すのって、衛生面でもマナー面でも、ちょっとどうかなと思うのですが。とにかく、その私の前の人は、a customer before meです。レジへ向かって、人が並んでいる状態。そしてその人は私の前に並んで、そのような行為をしていたので、私は気になった。まさに方向性がポイントとなります。
パリに旅行したときのことです。パリのトイレ事情って、困るんですよね。で、トイレに行こうとデパートへ立ち寄ったら、トイレの前には長い行列が。我慢できない。すると私の前に並んでいた女性が、お先にどうぞ、私の前へ来てもいいですよ、と言ってくれた。そんなとき、before meです。トイレという目的への方向性があります。トイレの個室が目的地。
せっかく順番を譲ってくれたのですが、その前の人が長いことトイレを占領していて、困りました。私の前の人、そんなときもbefore meです。
before me では、並んでいる人たちは、必ずしも目的の方へ向かって前を向いて、お行儀よく並んでいるとは限りません。後ろの人とお喋りをしているかもしれないし、壁を向いてスマホをいじっているかもしれないし、壁にもたれてボーッとしているかもしれません。ちょっと列を外れて鏡の前で化粧を直しているかもしれません。それでも目的の方向へ向かって、私の前にいる人は、before meなのです。
まとめ
日本人は、in front of ~を好んで使うような気がします。使いやすいのか、学校で「~の前に」はin front of ~だと習ったからでしょうか。
in front of ~とbefore ~の違いを理解し、使い分けることができるといいですね。
「~の前に」を表す、in front of ~とbefore ~の違いについてでした。