「アメリカ人」と英語で言うとき、「Americans」で、そこには冠詞のtheはありません。
英語で「日本人」は、Japanese peopleだったり、the Japaneseだったり。その違いは、「英語冠詞File8:「Japanese people」と「the Japanese」の違い」で詳しく解説しました。
しかし「アメリカ人」の場合は、American peopleとは言うけれど、the Americansとは言いません。冠詞the無しで、Americansで、複数のsがつきます。
今回はなぜ「アメリカ人」になぜ英語の冠詞theがつかないけれど、複数のsはつくのか、その理由を説明します。
theがつかない理由は?類似点より相違点
人種のるつぼと称させるアメリカ人たち。
およそ3億2500万人の人口は、実に様々な人種や民族から成り、様々な文化が存在します。
人種のるつぼを英語で、
melting pot
と言います。様々な人種や民族、文化が溶け合ったように、うまく調和しているような表現です。
そしてそのことをとても誇りに思っている国、それがアメリカなのです。実際の情勢は別として。
一人一人違う文化、ことば、人種や民族。みんなそれぞれで、それぞれの考え方があり、違うんだ。そしてその違いを受け入れて、認め合う。それがそれがアメリカ人だと。
the Americans と言うと、冠詞theをつけることによって、アメリカ人というものを一括りにしてしまい、この違いが強調されません。
我々アメリカ人は、みんなそれぞれ違う。だからtheをつけて、一括りになんかにするな。
早い話しがそういうことです。
複数のsをつける理由は?
Americansのsは、単に人が2人以上いるという数の問題ではありません。
このsの意味は、確かに複数のsなのですが、人数の問題ではなく、アメリカにはいろんな人種や民族や文化を持った、様々な人がいるという意味のsです。
確かにアメリカには、アジア系アメリカ人、アフリカ系アメリカ人、ヨーロッパ系アメリカ人、ヒスパニック、ネイティブアメリカン、などなど。またアジア系アメリカ人と言っても、日系アメリカ人、中国系アメリカ人、ベトナム系アメリカ人とさらに細かく分かれます。
また民族といいますか、宗教からなるグループも多くあり、ユダヤ系、イスラム系、キリスト系、などなど。キリスト教と一言で言っても、バプティスト系、カトリック系など、細かく分かれます。
このようにAmericansのsは、たくさんの異なった民族的、文化的グループが複数ある、という意味でのsです。
だからアメリカ人と言うとき、様々な意味で、その類似点より相違点が強調される、
American people
または
Americans
を使いましょう。
何で日本人は、the Japaneseなの?
the Americansではなく、American peopleを使い、その理由を聞いて、じゃあ何で、the Japaneseって他の人のことは平気でtheを付けるの?と疑問に思ったあなた。そりゃそうです。
参考記事「英語冠詞File8:「Japanese people」と「the Japanese」の違い」
そこには、アメリカ、ナンバー1!自分たちは特別で他の国とは違う、そんな意味合いが含まれているんです。
日本人や他の国の人なんて、みんな同じに見える。でも自分たちは違う。
アメリカ国内で、自分たちは人それぞれ違うと相違点を強調し、外国と比べるときも、自分たちは他の国とは違うとこれまた相違点を強調する。
みんな同じと類似点を強調すると、自分たちが特別な存在でなくなってしまいます。
言葉って、本当に奥が深いですね。
まとめ
アメリカ人と言うとき、オススメは
American people
です。無難な言い方で、裏に何もなくて、とても平等に聞こえます。
とにかく「~人」と言うときは、~ peopleと表現することをオススメします。
以上、Americansアメリカ人には、冠詞the が無いけど、複数のsはつく!その理由を解説しました。