花粉症の時期になり、かゆい目をこすり鼻をすすりながら、ふと
「花粉症って英語で何て言うんだろう」
花粉症に悩まされていてかつ英語を勉強している人なら、一度は調べたことがあるはず。
ネットで調べてみると、実に多くのサイトで
「hay fever」「allergic to pollen / pollen allergy」「pollinosis」
の3つがそれらしく紹介されていてショックでした。特に最初の2つ。
言葉としては間違っていないけど、考え方が間違っていて、ちょっと違うような・・・。
今回は、英語で花粉症の症状を説明するとともに、
「私は花粉症です」
と英語で言うとき、もっとネイティブ*らしい英語表現とその考え方を解説します。
*ここで言うネイティブとは、アメリカ英語を指します。
「花粉症」英語ではsinusとallergyがオススメ
結論から言うと、英語で花粉症と表現するとき、オススメなのが、
sinus
または
allergy
です。
「私は花粉症です」と自己紹介の一部のように言う人がいます。その気持ち、分かります。
ではこの自己紹介文「私は花粉症です」を英語で表現すると、
I have a sinus infection.
I have allergies.
「私は花粉症です」の自己紹介文は、以上です。
・・・・・。
それだけ?
そう、それだけで十分です。
・・・・・。
おそらく花粉症に悩まされている人にとっては、かなり不服かもしれません。
その気持ち、よく分かります。
だってallergyアレルギーって単語、一般的過ぎて、あの辛い花粉症を表現しきれていない、相手に伝わっていない気がしますよね。
その気持ち、分かり過ぎるくらい、よく分かります。
でも、上記の表現で十分なんです。その方がネイティブらしい表現で、しかもネイティブに理解してもらいやすい。
その理由とは・・・?
花粉症hay feverって、なぜ言わない?
花粉症って、本当に辛いですよね。でもだからといって学校や会社や休むわけにもいかず、家事や育児を全て放棄するわけにもいかず、何とか折り合いをつけて、薬と大量のティッシュでうまくやり過ごしている人が大半でしょう。
そうなると花粉症は、単なる自己紹介文の一部ではなく、もう自分の生活の一部。どうかすると自分自身の一部で、自分の個性のように感じてしまうのかもしれません。
世の中にはたくさんの種類のアレルギーがあるかもしれないけど、花粉症という独特のアレルギー性鼻炎に自分は悩まされているのであって、単なる一般的なアレルギーとはわけが違う。
しかも聞くところによると、花粉症って日本人に多い、国民病とも言えるそうじゃないか。
何より英和翻訳機に花粉症を入力すると、
hay fever
と、バシッと翻訳され、「何だちゃんと花粉症を意味する英単語があるじゃないか」と何だかすっきり。
よしこれからは、「私は花粉症です」と自己紹介をするとき、hay fever を使おう!
と、ちょっと頭が良くなった気持ち。
でもちょっとお待ちください。
気持ちは分かるのですが、それでも、hay feverではなく、allergyやsinusを奨めるのは、理由があります。
それは、
日本人とアメリカ人の考え方や文化の違い
です。
日本人の花粉症に対する熱い(?)思いなんて、アメリカ人には理解できません。
もっとディレクトに言えば、そんなことどうでもいい。
アレルギーを持った人は、アメリカにもたくさんいます。それが原因で鼻をぐずぐずいわせている人は、たくさんいます。
しかし彼らにとって、アレルギーはアレルギーで、普段の会話において、原因が花粉なのか何なのかは特に重要視していません。
結論が優先されるのが英語文化。
A) I love you because you're a doctor.
あなたのことが大好き、だってお医者さんなんだもん。
B) Because I love a doctor, I love you.
あなたがお医者さんだから、あなたのことが大好きなの。
A)とB)を比べると、結論から始めているA)の方がとても自然。だからこそ、理由から始めているB)は、その理由がもの凄く強調されているように聞こえます。
この例文なら、よほどお医者さんがよかったんだなと。
同様に、鼻をぐずぐずさせていたり目が痒いというアレルギーの症状は、つまりアレルギーになった結果です。その結果が重要なわけであり、原因である花粉とか何とかは、特に会話において重視されません。
時々自分の個性である花粉症について、必死で説明している日本人を見かけます。彼の熱弁とは裏腹に、それを聞くアメリカ人にとっては、「ふぅ〜ん、そうなんだ」くらいしかないのです。
ある日オフィスで鼻を真っ赤にさせている同僚に、どうしたの?と尋ねると、
I have some sort of sinus.
というお決まりの返事が返ってきました。
アレルギーか何か?と私が返すと、そんな感じと言う。
そうなると、日本人としては花粉が原因なのか、知りたくなり、
Allergic to pollen or something?
同僚は、花粉も含めて空気全般に対してアレルギーと言うではないですか。
日本人としては、花粉が原因の一つなら、何の花粉なのかはっきりしたくなる。
日本ではスギ花粉とかヒノキ花粉とか、その他の植物だったりと細かい情報が流れています。
私が住む地方では、梨の花の花粉が春にピークを迎え、その木の下に止めた赤い車が花粉で黄色くなるほど。
さすがに同僚に、what pollen?とまでは尋ねませんでしたが、おそらくこの梨の花だろうと。
私がこの同僚に根堀葉堀聞き出したのは、やはり花粉症大国日本出身だからです。
ですから誰も尋いていないのに、hay feverとか、allergic to pollenとか使って「私は花粉症です」を説明することは、いかにも外国人(日本人)で、相手が興味あるかどうかは二の次。
相手が耳鼻科の専門医なら、興味を示してくれるかもしれませんが、そうでない普通の会話においては、アレルギーという程度で止めておくのが、相手も理解できる範囲だし、スマートに会話も進むでしょう。
a sinus infectionは副鼻腔感染症
a sinus infectionとは、正しくは副鼻腔感染症という意味です。
医学的にはa sinus infectionは、季節性のアレルギーや花粉症とは違いますが、花粉症が長引くと、副鼻腔感染症を引き起こす場合があるとか(西園寺 克、allabout.jo.jp/より)。
こういった理由からか、アメリカで鼻をくずらせている人にどうしたのか尋ねると、
a sinus infection
という回答率が高いです。
だからといって、互換性があるとは言い切りませんが、そういう英語表現がある、ということを覚えておけば、次回英語でアレルギーの話が出てきたとき、スムーズに会話が流れるでしょう。
英語で花粉症の症状と発音を解説
それでも花粉症は自分の大切な個性。手のかかる子供ほどかわいいように、やっかいな花粉症だからこそ、自分の大事な一部で、これ無しに、自分を語ることはできない、という人の為に、花粉症の症状を英語で説明できるようにしましょう。
花粉症の症状で、代表的なものといえば、鼻水。サラサラと流れる状態を、
I have a runny nose.
とか
My nose runs.
もっと細かく言えば、サラサラと鼻水が流れている状態の鼻を、この”状態”に注目するなら、
1) My nose is runny.
鼻水がサラサラ出ている動きに注目するなら、
2) My nose is running.
微妙な違いですが、状況としては、
1)の状況例
春になって花粉症のシーズンが始まり、ここ1ヶ月間ずっとサラサラと鼻水が出てくる。この鼻何とかならないのかしら。
2)の状況例
鼻水がサラサラと出てきて、自分のティッシュ一箱使いきってしまったの。あなたのティッシュもらっていい?
Sinusは副鼻炎で、サラサラというよりもっとドロドロとした状態の鼻水。鼻詰まりですね。
I have stuffy nose.
My nose is sfuff.
stuffというのは、詰めることを意味し、鼻が鼻水で詰まっている様子が目に浮かびます。
また目が痒かったり、涙目になったり。
I have itchy eyes.
My eyes are itchy.
I have watery eyes.
涙目だから、tearを使って表現したくなりがちですが、watery eyes が一番無難な言い方です。
喉の奥に常に痰が溜まったような状態は
I have mucus in back of my nose and throat.
鼻と喉の奥に引っかかったような感じ。
Mucus is right between my nose and throat.
丁度鼻と喉の間に痰がある、あの感じ。
痰という意味のmucus の発音は、[ミューカス]で、覚え方は、映画「スターウォーズ」の監督ジョージ・ルーカスを文字って、ジョージ・ミューカス。
花粉症で頭痛がする人もいます。
I have a headache.
ちょっと痛いときは、a light headache、ひどいときは、a bad headache。しかしbad があるからといって、a good headacheがあるわけではありません。
もう一つ、アレルギーallergyの読み方は、
エラジー
と発音するのが、一番ネイティブのそれに近いです。
「あら〜っ、奥さん!こんなところで会うなんて久しぶり!」
という、しばらく合っていない人に、偶然会ったときの少し驚いた「あら〜っ!」の発音で、
アラジー
と発音すると、イギリス英語っぽくなります。
どちらの読み方でも、最初の文字にアクセントを置きます。
I have allergies!アレルギーが複数なわけ
先ほど紹介した文章、
I have allergies.
このアレルギーが複数形であることに、お気づきでしょうか。
花粉症に対するアレルギーなら、一つのアレルギー何じゃない?と思ったあなた。いいところに目をつけています。
空気中にある花粉に反応してアレルギーを起こしているだと言いたい気持ちは分かります。
しかし空気中にあるアレルギーを引き起こす物質は、花粉だけでなく、工場で汚染された空気、車の廃棄ガス、土埃など様々。そういったもの全てを含めて、allergiesと複数形。
といいますか、そららをいちいち区分けする必要は無い、そんなことアメリカ人は気にしない。大して必要なことではない。
何となく納得行かないかもしれませんが、やはりそこは文化の違いです。
アメリカで、「誰かが私のアパートの前で、20分くらい突っ立てた。ちょっと怖かった」と誰かに言えば、男か女か、人種は何か、白人か黒人か、ヒスパニッシュか、と質問されるでしょう。
私たち日本人からしたら、性別までは理解できますが、どうして白人か黒人か、そんなに知りたがるのだろうと、不思議に思うことを通り越して、気分が悪くなります。
日本人からしたら、大して重要でない事項でも、アメリカ人からしたら、尋かずにはいられないことなのでしょう。
これはもう、文化の違いとしか言いようがないです。
まとめ
「私は花粉症です」
と自己紹介するときは、hay feverやallergic to pollenとわざわざ自分から詳しく説明しないで、
I have a sinus infection.
または
I have allergies.
と、サラリと言うと、ネイティブらしくて、さらにネイティブに受け入れてもらえて、その後の会話もスムーズにいきます。
ちなみにもしあなたが、自分は花粉症だと思っていて、でも症状が鼻詰まり、頭痛、倦怠感や疲労感などあったら、もしかしたら、a sinus infectionかも。
以上、英語で「私は花粉症です」はhay feverを使わない理由と、花粉症の症状を説明・解説しました。