人に順番を譲るときなどに使う、「お先にどうぞ」。誰かに親切にしたいときってありますよね。そんなときに使える「お先にどうぞ」という英語表現。Pleaseだけはありません。状況によって言い方は違いますが、よく使われる、オススメの「お先にどうぞ」をご紹介します。
あなたの後で、”After you”
お店に入ろうと、自動ドアの前に立ったら、ほぼ同時に他の人が。そんなとき、
After you.
外出先で、トイレに入ろうとしたら、ほぼ同時に他の人も入ろうとした。そんなときに、
After you.
丁寧な表現なので、とても親切に聞こえます。状況としては、何かの順番のポジションにほぼ同時にアクセスして、微妙に自分が先かな?というとき、順番を譲るときに使います。もちろんその他の状況でも使うことはできますが、上記のような状況だと、あれこれ説明しなくても、after youの一言で、全てが通じます。
後で詳しく解説しますが、あれこれ説明しなくても通じるという状況というのが、after youを使うときのポイントになります。
嫌な事柄で、”You first”
先に行くことが、何もいつも良い場合とは限りません。
いつも怒鳴ってばかりの上司に、社員みんなで抗議することに。じゃあ、誰が先頭で行く?
You first.
スエーデン産の発酵したニシンの缶詰。ものすごい匂いです。誰が先に試す?
You first.
これは決まった言い方なんですけど、あまり好ましい事柄ではないときに、使われます。自分は先に行きたくないから、お前、先に行けよ。そんな感じ。
先にそれ、やってて、Go ahead
私のこと待たなくていいから、先に行ってて、先にそれ、始めてて。そんな状況で使います。何かにコミットしているときに使います。人と約束している、何かを一緒にしている、許可を待っている、順番を待っている、など。人とちゃんと約束を交わした状態だけでなく、社会的な暗黙のルールであったりします。
イベント準備・運営のバイトをしたとき、当日の集合場所は最寄りの駅だった。バイト仲間全員そろったけれど、運営長のEさんがまだ到着していない。先にイベント会場へ向っていいの?どうしよう?ということで、自分がここでEさんを待っているから、みんなは先、会場へ行ってて、と提案。
そんなとき、
Go ahead and I’ll wait here for E.
お店のレジで並んでいるとき、牛乳を忘れたことを思い出した。でも牛乳売り場はちょっと遠い。仕方ない、後ろの人に、「お先にどうぞ。一つ忘れちゃってて」と譲ってあげた。
Please go ahead. I forgot something.
友達とファミレスでランチ。私が注文したカニクリームパスタは直ぐ来たのに、友達が注文したチャウダーはまだ。やっぱり友達のが来るまで、待つべきだよね。すると友達が、「お先にどうぞ。料理が冷めるといけないから」
Go ahead as long as it’s still warm.
Go aheadを使う状況は、自分と相手が了承しているルールや約束があることが前提です。
上記の例では、運営長が来るのを待つ、レジでは順番通りに並ぶ、人と食事をするときは一緒に食べ始める、のような契約や約束やルールがあります。周りの人たちもそのことを了承しています。それらから外れてもいいよ、というような意味合いで使います。ですからgo ahead と言うときは、理由や状況説明を加えたりします。
比べてみると
今回ご紹介した3つの表現を、使い分けができるように、比べてみましょう。
例えばスーパーのレジで順番待ちしているとき、そこにはきちんと並んで待つというルールがあります。もしあなたがポテトチップス一袋だけを持って並んでいたとき、前に並んでいる人は、食品をたくさん入れたカゴを持っている。そんなとき前の人が、あなたに「お先にどうぞ」という場面。
After you.
親切心から、ポテトチップス一袋のあなたに、「お先にどうぞ」と言っている感じ。自分は会計に長くかかりそうだから、ポテトチップス一袋のために、長く待つことないよ。after you は、特に説明しなくても、お互いがどんな状況なのか分かるときに使います。どうして先にOKなの?と前の人に聞かなくても、ポテトチップス一袋だけだし、自分はカゴ一杯だから、先に済ませたらいいじゃない、と言ってくれているんだなと、状況からあなたは推測できます。
もしこれが、あなたもカゴ一杯、前の人もカゴ一杯のときは、go ahead を使うのが自然でしょう。レジでは並んで待つというルールがあり、状況的に、前の人があなたに順番を譲る理由が見当たりません。なのにafter youと言われたら、「何で?」と疑問に思うでしょう。
ですからこの場合は、
Go ahead.
レジでは順番に並んで待つというルールがあり、そのルールから外れる、外れることを許可している。本来なら前の人が先に会計を済ますというルールがあるけど、あなたにそのルールを外れてもいいよと、許可しているのです。あなたは、前の人は自分に先に行ってもいいと許可してくれていることは分かりますが、品物一つだけとか、自分が気分悪そうにしているとか、順番を譲ってくれそうな理由がないので、やはり「何で?」と疑問に思うかもしれません。
通常人間は、様々な状況を自分で道理が行くように説明したり推測したりするので、あなたは、「前の人がゆずってくれるのは、何か特別な理由があるんだろう。友達を待っているけど、まだ列に現れないとか」のように、何か理由を推測します。
ですから、先程も説明しましたように、go aheadを使うときは、同時に説明や理由を加えることが多いのです。
前の人は、おそらく、
Go ahead. I’m waiting for my mom. She should be coming soon.
お先にどうぞ。母が来るのを待ってるんだけど…。もうすぐ来るはずなんだけど。
一言二言、理由を付け加えるでしょう。
では、you firstは、どんな状況でしょうか。あなたがレジで並んでいて、前の人が、
You first.
と言って、順番を譲ってくれた。この表現が使われるのは、何か嫌な事柄が待っている状況です。前の人が順番を譲ってくれたことに対し、もちろんあなたは「何で?」と思い、何か嫌なことがそこにあるのかな、とマイナス要素をあなたは推測するでしょう。レジ係の人が、前の人の嫌いな人だったとか、レジが汚れているとか。
車のバンパーに、Go around
私は安全運転を一番に心がけていて、スピード違反は決してしません。追い越したい人は、どうぞ追い越してください、という意味で、「お先にどうぞ」と車のバンパーに書いています。
Please Go Around
すると、スピードを守って、あるいはそれ以下で安全運転をしていても、後ろの車はクラクションを鳴らすことなく、スムーズに追い越してくれます。
追い越されて腹が立つ人がいますが、以前は私も、ちょっとムカっとしました。でも、この言葉を車に書いてから、追い越されるのが楽しくなってきました。追い越されると、何だか自分は良いことをしているような気がするんです。
オススメです。特に運転中、ついイライラしがちな人には、とってもオススメ。
Please Go Around
お先にどうぞ
go aroundという表現は、まさに車で追い越すときのイメージです。追い越して先に行って、という物理的な意味です。
まとめ
「お先にどうぞ」という英語表現を、使い分けることができるまで理解して、実践でもぜひ使ってみてください。
簡単にまとめますと、
親切のAfter you
何か嫌なことのYou first
許可のGo ahead
物理的なGo around
以上、「お先にどうぞ」を英語で何と言うか、オススメ表現をご紹介しました。